お墓がないという不安を見つめるとき ―― 供養の選択肢、どう考える?
2025/06/10
墓がないという現実と不安
近年、「お墓がない」「そろそろお墓のことを考えなければ」という声をよく耳にします。親や配偶者のご遺骨はあるけれど、まだ埋葬先が決まっていない。そんな状況に不安を覚える方もいらっしゃるでしょう。
ですが、実はご遺骨について「いつまでに埋葬しなければならない」という法律上の期限はありません。また、自宅でご遺骨を保管したり、仏壇などで手元供養することも法的にまったく問題ありません。法律で定められているのは、ご遺骨を「埋葬」する場合の手続き(埋葬許可証の取得など)に限られています。つまり、気持ちの整理がついてから、ゆっくりとお墓探しを始めるというスタンスでもまったく問題はないのです。
変わりゆく供養のかたち
供養のかたちは時代とともに多様化しています。 従来のような家墓に限らず、樹木葬や納骨堂、散骨、手元供養など、選択肢はさまざま。 特に都市部では「跡継ぎがいない」「実家に戻る予定がない」といった理由から、無理に墓を建てず、家族のライフスタイルにあった供養の方法を選ぶ方が増えています。
「お墓がない」と焦る気持ちの裏には、「供養をおろそかにしたくない」「きちんと形にしたい」という真面目な想いがあるもの。 だからこそ、誰かに急かされるのではなく、ご自身やご家族の想いに耳を傾けながら、少しずつ方向性を定めていけばいいのだと思います。
今、ご遺骨をご自宅で安置しているという方も、まずは「手元供養」というかたちで、大切な方を近くで偲ぶことができます。そこから必要に応じて、ご遺骨の一部を樹木葬や納骨堂に納めたり、散骨を検討することも可能です。
気持ちが整ったときの選択肢






気持ちの整理がついたとき、「そろそろお別れしてもいいかな」と思えたなら、以下のような供養の選択肢があります:
- 永代供養墓:お寺や霊園が管理し、後継ぎがいなくても安心して供養を任せられるお墓。
- 樹木葬:自然に還るという思想のもと、樹木の下に埋葬されるスタイル。多くの場合、永代供養が含まれています。
- 納骨堂:屋内や屋外施設にご遺骨を預ける形式。立地や管理のしやすさから都市部で人気があります。
- 散骨:ご遺骨を海や山など自然に還す方法。一度きりの別れとなりますが、自然との一体感を望む方に選ばれています。
- 手元供養:小さな骨壺やペンダントなどにご遺骨の一部を納め、ご自宅で供養する方法。一般的にはご遺骨の大部分を埋葬か散骨する際に、少量をとっておき、お手元で身近に供養するものですが、火葬後に受け取る骨壺の状態で自宅に保管・供養することもできます。
その他の供養スタイル
また、その他の供養方法としては、他の方と合同で埋葬される合祀墓(ごうしぼ)や、海洋散骨・宇宙葬・山林葬などの自然葬のバリエーションもあります。
情報収集の第一歩は身近なところから
多種多様な供養の方法がある中で、どれが自分に合っているのか。選択肢が多いとなかなか調べたり情報収集するのも億劫になります。
そんなときは、まず身近にできることから始めてみるのがおすすめです。 インターネットが使える方は、各業者やお寺の公式サイトを通じて資料請求をしてみましょう。 営業連絡が煩わしいと感じる方は、信頼のおけるお寺や葬儀社、あるいは知人・友人に体験談を聞いてみるのも一つの方法です。
供養は「こうでなければならない」というものではありません。 大切なのは、故人を想う気持ちを、無理のない方法でかたちにしていくこと。 お墓がないという状況に不安を感じたときこそ、その想いに向き合いながら、ご自身にとって納得のいく選択肢を見つけていただけたらと思います。
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