樹木葬のデメリットと誤解

2024/09/20

新たにお墓を購入する人の半数以上が樹木葬を選ぶ昨今ですが、まだ歴史の浅い弔い方法なだけに、「まだ表面化していない問題やトラブルなどの樹木葬特有のデメリットがあるのではないか」と警戒する方は多いかと思います。
今回は、一般的に樹木葬のデメリットであると言われている内容や、実際には心配するに足らない誤解や悪いイメージについてご紹介いたします。

樹木葬とは?

樹木葬とは、一般的な石のお墓と違い、樹木を墓標とするお墓のことで、最終的にお骨が自然に還る「自然葬」に属する葬送になります。大きく分けて山林への埋葬と植樹を行う「里山型」と、街中の霊園や寺院の墓地域に埋葬する「都市型」の樹木葬が存在します。
「樹木葬」と聞くと「里山型」を思い浮かべる方が多い印象ですが、国内に存在する樹木葬のほとんどが「都市型」の樹木葬です。

里山型樹木葬のイメージ
都市型樹木葬のイメージ

一般的な樹木葬のデメリット

まずは、代表的なデメリットをご紹介します。こちらを理解せずに樹木葬を購入・納骨すると、一生後悔することになるかもしれません。

1.遺骨の取り出しができない

先述した通り、樹木葬はお骨が自然(土)に還る「自然葬」であるため、ご遺骨は骨壺などに入れず、直接、もしくは自然に還る素材の袋に入れて土中へ埋葬するため、「やっぱり別の場所に移すのでお骨を取り出します」ということができない場合があります。埋葬後にお骨を取り出せないことに不安を感じる方は、全骨の埋葬ではなく、お骨の一部を分骨し、手元供養としてお手元に取っておくことをお勧めします。

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2.納骨できる人数に上限がある場合が多い

石の一般墓の場合は、先祖代々の遺骨を埋葬するので、基本的に埋葬人数に制限がなく、人数が増えてスペースが狭くなってきても、改葬工事をしたり、粉骨することで納骨スペースを確保するなど、方法はいくらでもありますが、樹木葬の場合は予め納骨できる人数が決められている場合が多いです。
パターンとしては、「1人用」「夫婦を想定した2人用」「家族利用を想定した4人用」などがあり、一般的に「1人用」「夫婦を想定した2人用」の2パターンを用意している樹木葬地が多いです。
なぜ先祖代々で入れる樹木葬が少ないのかというと、樹木葬の最大のメリットである「子供に負担がかからない」点に関係します。代々継承することを前提とした石のお墓と違い、お寺の檀家になる必要がなく、自分もしくは夫婦で完結することで墓守を必要としない点が、近年樹木葬が人気を帯びてきた大きな理由です。なので、大人数で利用できる樹木葬の需要自体が少なく、少人数で利用する樹木葬が主流となっています。
※個別の区画を設けない合祀(合葬)タイプの樹木葬には人数の制限がありません。

3.家族に理解されない場合がある

樹木葬は一般墓と比べるとまだまだ歴史は浅く、代々継いでいく伝統的なお墓を希望する方が家族にいると理解されない場合があります。「お墓は代々引き継いでいくもの」「お墓を守るのが子孫の責任」と考える人は当然います。納骨後に家族に反対されても、遺骨を取り出せないこともありますので、家族間でしっかりと話し合っておく必要があります。

4.種類が多く、選ぶのが大変

石のプレートを置くタイプ
カロートがあり自然に還らないタイプ
人工物をできるだけ使わず自然に還すタイプ

上の写真はいずれも都市型の樹木葬ですが、それぞれ異なった仕組みの樹木葬になります。
はじめにお話しした通り、お骨が自然に還る「自然葬」として括られる樹木葬ですが、骨壺ごと埋葬し、自然に還らない樹木葬(?)や、石のプレートを置くタイプであったり、お墓の回りに草花をあしらったガーデニング墓など、石の一般墓と違い、運営する霊園やお寺によって、見た目やシステムに大きな違いがあります
現状、『この条件を満たしていないと樹木葬とはみなさない』というガイドラインが無く、”樹木葬”と名乗ったもの勝ちの状態ですので、中には”樹木”の要素がほとんどない、ほぼ石の樹木葬も多く存在します。なので、「ここの霊園の樹木葬、思っていたのと違ったな…」となっても、あきらめずに他の樹木葬も見てみてください。きっと理想の樹木葬が他に見つかります。

よく聞く樹木葬の誤解

続いて、正しく世間に広まってほしい、樹木葬で誤解されがちな内容を3つご紹介します。

1.アクセスが悪く、お参りに行きにくい という誤解

樹木葬のデメリットとして上がりやすいアクセスについて、こちらは十中八九、「里山型」の樹木葬についてのデメリットになります。初めにお話しした通り、国内の樹木葬のほとんどがアクセスのしやすい「都市型」の樹木葬ですので、個人的には”樹木葬を利用していない人”がイメージで言っているデメリットなのでは?と思っています。それぐらい、近年の樹木葬は行きやすい場所にあります。
ですので、樹木葬=行きにくい場所 と考えてしまうのは非常にもったいないです。

2.樹木葬は樹木のお手入れが大変 という誤解

こちらもよく聞く誤解なのですが、「都市型」の樹木葬においては、樹木や草花のお手入れは霊園やお寺、管理会社によってメンテナンスされているところが殆どではないでしょうか。
一般的な石のお墓の場合は、定期的に墓掃除や除草をする必要があるため、そのままのイメージで「石の代わりに樹木になったらもっと手入れが大変だろう」と解釈される方がいるのかもしれません。もしくは、一部の「里山型」の樹木葬では、契約者や親族が墓標となる樹木やその周辺の整備を行う山林があるようなので、その部分を指しているのかもしれません。
いずれにしても、樹木葬が人気になっている背景として、「子供に負担をかけたくない」というニーズが大きいので、お手入れの大変な樹木葬があれば、それは本末転倒です。

3.樹木葬は散骨と同じようなもの という誤解

樹木葬と散骨の違いについてはコチラの記事で解説していますが、どちらもお骨が自然に還る自然葬で、比較的安価で、墓守の必要がなく、将来的に墓じまいの必要もないという点で同列に語られがちですが、決定的な違いは、樹木葬は「お墓」であるという点です。
樹木葬は「お墓」なので、法律に則り、各地方自治体の許可を得た墓地域にしか埋葬されませんので、山林に無造作に葬られるということはありません。
樹木葬という形式上、火器を扱うロウソクなどを使用できない場合もありますが、故人の眠る場所に向かって花を手向け、手を合わせることができるのは、お墓である樹木葬の大きなメリットと言えます。

いかがだったでしょうか。今回は樹木葬のデメリットと、巷でよく聞く誤解について解説いたしました。前述したとおり、樹木葬は多くの種類がありますので、気になる霊園やお寺がありましたら、資料請求や見学をし、比較することをお勧めします。

墓石がなく個別区画自然に還る、京都大本山の樹木葬

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