ペットと眠れる樹木葬が少ない理由

2025/03/21

近年、「ペットも家族の一員」と考える方が増え、ペットと一緒に眠れる樹木葬への関心が高まっています。弊社にも「ペットも一緒に埋葬できますか?」というお問い合わせをいただく機会が確実に増えてまいりました。しかし、実際にはペットと人が一緒に埋葬できる樹木葬はまだ多くありません。その背景には、宗教的・法的・文化的な理由などがあるので解説いたします。

1. 宗教的な理由

特に寺院墓地では、仏教の考え方に基づき、人は亡くなると「仏」となり供養の対象となります。一方、動物は「畜生道」に生きる存在とされ、人と同じ場所での供養はふさわしくないとする見解もあります。そのため、同じ墓所に人と動物の遺骨を納めることに抵抗がある寺院が多いのです。

さらに、仏教では六道輪廻という考え方があり、人は修行を経て成仏し仏の道へ進みますが、動物は「畜生道」という異なる輪廻の道を歩む存在とされています。このような宗教的な価値観から、動物と人の供養や埋葬を明確に区別する必要があると考える寺院が多くあります。

また、檀家制度を重んじる寺院では、檀家の理解や合意がなければ新たな取り組みが難しい背景もあります。長年続く伝統的な考え方や宗派の教義によっては、動物との合同埋葬に慎重な姿勢をとることも少なくありません。

2. 法律や条例による制限

日本の「墓地埋葬法」では、墓地は「人の遺骨を埋葬する場所」と定義されています。これにより、法的にはペットの遺骨を墓地に納めることが難しいとされる場合があります。また、自治体の墓地条例によっては、ペットの埋葬を明確に禁止しているケースもあります。

こうした法的な制約により、ペットと人を同じ墓所に納める「ペット共葬」が可能な樹木葬は限られているのが現状です。

3. 文化・慣習的な背景

日本では「先祖代々の墓」という概念が根強く、人の遺骨を祀る場としての墓地が一般的です。ペットは家族同然の存在でありながらも、「人とは異なる存在」として扱う文化的背景があるため、人とペットの合同埋葬に抵抗を感じる方も少なくありません。

また、親族の理解を得られない場合や、周囲からの反対意見が出ることを懸念して、ペットとの共葬を諦めるケースも見受けられます。

4. トラブル回避のための配慮

霊園や寺院では、他の利用者や檀家の方々とのトラブルを避けるために、ペットの合同埋葬を認めていない場合があります。人とペットを同じ場所に埋葬することに理解が得られないケースもあり、苦情や意見の相違を防ぐ目的もあります。

5. 「ペット共葬可」でも本当の意味で一緒に眠れないケースに注意

近年は「ペット共葬可」と謳う墓地や樹木葬地も増えてきましたが、内容をしっかり確認することが大切です。

中には「永代使用期間が過ぎた後」、人とペットの遺骨が別々の永代供養墓に移されるケースもあります。この場合、契約時には「一緒に埋葬できる」と説明されても、最終的には「人とペットが別々になる」こともあるため、本当の意味で「共に眠る」ことが叶わない可能性があるのです。

そのため、ペット共葬を希望される場合は、契約内容の細部まで確認し、「最終的な永代供養先」までしっかり把握しておくことが大切です。

■ もし近隣にペットと眠れる墓地がない場合は?

「ペットと一緒に眠りたい」という想いがあっても、近隣にペット共葬可能な墓地や樹木葬が見つからない場合も少なくありません。その際は、以下のような選択肢を検討されることをおすすめします。

1. ペット専用霊園と別々の埋葬でも「近くに眠る」選択肢

ペット専用の霊園や納骨堂を選び、人の墓所の近くにペットを埋葬・安置することで、精神的に「共に眠る」形を取る方もいらっしゃいます。お参りの際に一緒に手を合わせられる距離感を重視する方法です。

2. ペット共葬可能な墓地・樹木葬を広域で探す

希望に合う墓地が近くにない場合、範囲を広げて探すことも一つの手です。都市部や新しい霊園・樹木葬地では「ペット共葬可」や「ペット専用区画併設」の施設が増えています。インターネットや専門業者に相談し、将来にわたり安心できる場所を探すのも良いでしょう。

3. 自宅敷地内への埋葬や手元供養

法律や地域の条例によりますが、自宅の敷地内にペットを埋葬するためのスペースを設ける方法や、お互いの遺骨を手元で供養し続ける「手元供養」も選択肢のひとつです。特に「死後もずっと一緒にいたい」という思いが強い方には、現代ならではの供養方法として検討する価値があります。

手元供養とは?

京都で20年以上、手元供養品の制作販売を行っている老舗企業「カン綜合計画・博國屋」が解説。手元供養とは?手元供養の目的、背景など。

■ まとめ

ペットと一緒に眠れる樹木葬が少ない理由には、宗教的な教義、法的制約、文化的背景、そして運営側の配慮といったさまざまな事情が関係しています。

さらに、近年は「ペット共葬可」の表記があっても、永代使用期間終了後には人とペットが別々に移される仕組みの墓地も存在するため、注意が必要です。

もしペットと共に眠ることを望まれる場合は、「ペット共葬可」や「ペット区画併設」など、明確に対応している樹木葬地や霊園を選び、事前に内容を十分確認することが大切です。

大切な家族であるペットとも、安心して永遠の眠りの場を共にするために、納得のいく選択をしていただければと思います。

私たちはご相談をきっかけに強引な勧誘やしつこい営業電話などは一切いたしません。
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